すでに早いところでは滋賀県の渓流釣りも解禁となってますが、3月になればほとんどの渓流釣りが解禁されます。今日は、私が取り憑かれてしまった渓流でのフライフィッシングの魅力について、な~んでこんなに夢中になれるのか?を考えてみました。
その1:楽しいタイイング
フライフィッシングは、魚が捕食している水生昆虫等に似せたフライを巻くこと(タイイング)から始まります。もちろん市販品でもOKですが、自分で巻いたフライで釣った喜びは何倍も大きいです。かれこれ15年ほど前のことになりますが、初めて自分で巻いたフライ(ブラウンパラシュート)で釣った魚(小さなイワナ)のことは今でも鮮明に覚えています。
最初はうまく巻けませんが、季節と流し方と魚の食い気などのタイミングが合えば意外なほどあっさりと釣れたりします。見た目は美しいフライが釣れなかったり、何尾か釣ってボロボロになったフライのほうが釣れたり...迷宮に迷い込んだような世界が広がっています。
経験を積むに従って、この時期のこの川でハッチ(羽化)する水生昆虫は茶色いカゲロウが多いから、フライはコレかコレというようにパターンを絞り込むことはできるようになりますが、このフライなら絶対に釣れるということは...ありません。ですので、色々と工夫しながら様々なパターンのフライを巻く楽しみは尽きることがありません。
その2:楽しいドライブ
渓流への道は曲がりくねった山道ですので、クルマ好きにはたまりません。コーナーを1つクリアするごとに山が深くなり美しい景色が広がっていきます。昔のNAVI誌で、今尾さんだったかが旧い黄色いアルファジュリエッタスパイダーに乗ってフライフィッシングに行く記事が掲載されているのを読んで、とても憧れました。何年か後、黄色のビートに乗ってフライフィッシングに行くことがありましたが、春のオープンドライブは最高でした。
その3:楽しい谷歩き
タックルをセットして腰までのウエイダーを履いて谷へ入ると、ドライブでは感じることのできない自然の美しさに触れる(入っていく)面白さが広がっています。
透き通る冷たい水、川面に顔を出した岩に生えた苔の緑の美しさ、水際の草花やそれを取り巻く木々には春先なら芽吹いたばかりの柔らかな緑が美しく、 初夏なら谷を渡る風が心地いい。渓を流れる水は落ち込みで白泡となり瀬で波打ち瀬尻まで流れるとフラットにと刻々と変化していく水面を見つめ、絶えず流れ続ける水が奏でる極上のヒーリングミュージックをBGMに渓流魚との出会いを求めて上流へと足を進めるたび、少しずつ表情を変える日本庭園のような美しい風景に出会えます。
その4:楽しいキャスティング
フライフィッシングは重さが無いに等しい軽いフライをポイントへ投げ込むのですが、そのためにロッドのしなりを利用して重さのある太いフライラインを、慣性の法則を使ってその先に結んだテーパー状のリーダーと呼ばれる透明のラインと、その先に継ぎ足す透明で細いティペットと呼ばれるラインの先に結んだフライをポイントへ届けます。文章にすると非常にややこしくて巧くなるのは大変ですが、コツさえつかめば数メートルぐらいは投げられますので短距離での釣りとなる渓流でのフライフィッシングならすぐ楽しむことができます。とにかく腕の動きを止めた後に黄色やオレンジのラインがUの字になって前方へスルスルと伸びていくのは、とても不思議な快感に満ちています。
その5:面白い水生昆虫の世界
魚を釣るためには、魚が何を食べているか知る必要があります。飛んでいる虫や蜘蛛の巣にかかった虫あるいは近くの街灯や自販機の近くで死んでいる虫を見たり、川の中の石を裏返して今どんな虫がいるかを観察します。
水生昆虫の中でもポピュラーなカゲロウを例にとると、幼虫の間は水底の石裏などに潜んでいますが時々流されたり、羽化が近づきウイングケースが黒く変色してくると水面に浮上あるいは種によっては水際の葦をよじ登り、水から出たところでケースが割れてウイングが出て体全体がずるっと出てきて亜成虫(ダン)となりますが、ウイングが乾くまでは飛ぶことができません。無事飛び立った後は、再度脱皮してスリムな成虫(スピナー)となり、水中に卵を産み付けると死んで流されます。
そういったライフサイクルの今どのステージなのかを判断してフライをセレクトするのは楽しいものです。
その6:興奮するハンティングの要素
魚が水中から浮上して水面を流れるカゲロウなどを「パシャッ」と水しぶきを上げて捕食(ライズ)するのを見かけることがあります。あるいは水中に定位している魚が時折口を開けて何かを捕食するのを見ることもあります。
魚を見つけてから最適なフライをセレクトして最適な水の流れ(レーン)にフライをキャスト(プレゼンテーション)して狙うというのは、やったことありませんがハンティング的と言われています。とにかくライズする魚を狙う楽しみは、ええオッサンが何度遭遇してもドキドキするエキサイティングな魅力にあふれています。
その7:愛すべき渓流魚
美しい谷に棲む魚は釣った後に写真を撮らずにはいられないほど美しくキラキラと輝いています。背中の白い虫食い模様や体側の橙色の斑点と白く縁取られたヒレが美しいイワナは、とても臆病で水中の岩のエグレなどに潜んでいるかと思えば、ときには大胆に大きなフライを追いかけたりと不思議な魅力にあふれ、小判型の幼魚班(パーマーク)が美しいヤマメやアマゴは、とても神経質で1度かけ損ねれば2度と出てこないばかりか、運良くハリにかけたとしても水中を俊敏に動き回ってハリを外すのも巧いだけに、釣ったときの喜びは大きいものとなります。外来種ですがニジマスの小さいサイズは比較的釣りやすいものの、サイズの割に引きが強くてときにはハリを外そうとジャンプして首を振って抵抗する好ファイターです。
その8:C&RとC&E
美しい渓流魚をキャッチしたら写真を撮った後、やさしくリリース(C&R)することで、フライフィッシングを楽しむために不可欠な渓流魚を渓に残すことができます。口元に小さな傷と釣られた記憶は残りますが、次に同じ渓に来たときに少し賢くなった魚を釣る楽しみを残すことができますし、そのまま生き残ることができれば子孫を残し、将来に渡って釣りを楽しむことができます。ちなみに餌で釣ると喉奥まで飲み込むことも多く、リリースしても死んでしまうことが多いようです。
管理釣り場(釣り堀)でたくさんキャッチした場合は持ち帰って薫製にして美味しく食べたり、キャンプのときに数尾の魚をキープして塩焼きにして食べるのも(キャッチ&イート)大きな楽しみのひとつとなります。
その9:楽しいキャンプ
数日にわたって釣りをする場合、そのまま山にテントを張ってキャンプすることも多く、その日の釣りを焚き火を囲んで釣友と語り合ったりするのもまた楽しいものです。ダッチオーブンにシチューの食材を放り込んでツーバーナーにかけてからイブニングの釣りに行って、サイトに帰ってくる頃に美味しいシチューが 出来上がっていたこともありました。
その10:魅力的なタックル
釣った魚と一緒にランディングネットやロッド&リールを撮影することが多いためか、道具も実用品としてだけではなく美術品のような美しさを兼ね備えているものが多く、美しいタックルで美しい渓流魚を釣るという究極の自己満足が得られます(苦笑)。
しかも100年以上前から道具自体に大きな技術革新が無くて、ローテクで魚と遊ぶことに楽しみを見出しているようなところがあるので、旧いタックルが今でも実用になるばかりか、歴史を感じさせる渋い風合いを求めてオークションで頻繁に取引されるほどの人気となっています。
私もオールドタックルの魅力に取り憑かれた一人で、同い年の竹竿に1950年代製のリールを付けて悦に入ってます。現在主流となっているプラスチック製フライラインが傷んできたら、クラシックなシルクラインを使ってみたいなぁと憧れてるのですが、高価でメンテも大変なので躊躇しているところです(爆)。
以上、渓流フライフィッシング10の魅力!でした。あぁ、早く美しい渓でベッピンあまごが釣りたいもんです。
追伸:しまじろう殿 今シーズンの初釣行はいつにしまっか~?
ひろぽん殿 キャンプにもはまったことやし、次のステップとしてフライフィッシングもやってみる?責任もって手ほどきしまっせ~っ!(爆)
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